9 トニーくん

トニーくん

松江さま

工場裏で捨てられていた犬を発見しましたって言う。

よしこさん、こういう犬好きだよね。3匹いるけど・・・というメールがありました。

年齢4歳。

きっかけ

きっかけ

世田谷区役所で婚姻届を出している時に友達の佐々木さんから携帯メールが入ったんです。工場裏で捨てられていた犬を発見したんだけど、どう?って。

写真には、腕の中にかわいい子犬が3匹。人の腕に抱かれても脱力している子犬をいただくことにしました。私の仕事柄、色々な人と会ったりするので、ストレスに感じにくいコを選んであげないとかわいそうだと思ったから。

その1週間後に引き取りに行きました。結婚と同時に来たのが、このトニー。推定生後3カ月でした。

出会ったときの印象は?

出会ったときの印象は?

もちろん子犬はかわいい。でも子犬の時ってまだ犬になっていないと思っているんです。

これからどんどん仲良くなっていって、どんどん好きになっていくんだろうなって言う予感を感じながら道中、これから関係を深めて行くわくわくしながら連れて帰って来たのを覚えています。

安心した顔で眠るトニーくん
安心した顔で眠るトニーくん

トニーにとって松江さんと会うまではどんな3カ月だったんでしょう?

最初は長い棒を見ると恐怖に震えて後ずさりしていました。棒でたたかれたことがあったのだろうと思います。

バランス・ドッグマッサージやバッチフラワーを使ってトラウマを除いていきました。

最初は首輪つけるときにも、異常におびえて、首をすくめてしっぽを巻いていました。首の周りを触れられるのが怖かったのですね。今では、長い棒を見ても全然平気、首の周りを触られるのも好きになりました。マッサージをしても気持ちよさそうに目を細めます。


最初は、無表情でもありました。暗い表情というか。私はトニーに笑って欲しくて、たくさん話しかけたり、歌を歌ったり。4ヶ月頃、初めて笑ったときには、すごく嬉しかった思い出があります。

推定3ヶ月で我が家に来たとは言え、捨てられたのはもっと幼い頃でしょう。早くに母犬から離され、人とのふれあいは、工場で働いている人から、お弁当の残りをもらっていた程度だったようです。


最初5匹だったのが、いつのまにか2匹いなくなって・・・。そうそう、トニーは自転車に乗っている女性が好きでたまにとびきりの笑顔になって自転車を追うことがあります。幼い頃はしょっちゅうでした。工場内では、みなさん自転車で移動しているようで、おそらく自転車に乗っているおばさんがお弁当をあげていたんじゃないかと、佐々木さんとも話しています。

あと、工場で働いている人によくしてもらっていたおかげか、作業服を着ている人も好きなんですよ。散歩しているときに、電気工事などをしている人をみつけて、にこにこっと笑いながら休憩中に寄って行くこともよくあります。「作業服を着ている男性が、好きなんですよ。」と、お話しすると、みなさんかわいがってくれて、トニーはますます、作業服の人が好きになっているみたいです。

生まれた家の中で、人に世話をしてもらうことができていれば、もっと人懐っこい犬になっただろうな、と思うこともありますね。犬にとって人の手は魔法ですから。

気付かされたことは?

気付かされたことは?

たくさんありますよ!

トニーは朝日を浴びるのが大好きなんです。トニーが朝の日差しを満喫してねそべっている姿を見ると、私もちゃんと早起きして朝日浴びようと思ったり。私が遅くまで寝ていると、のどの奥でハウッと小さな声を出して、「カーテン開けろっ」と怒るんです。「今日は日が差しているぞっ!」と言っているみたいに(笑)。

あと、トニーは鼻を良く使います。事務所の近くを歩いていても、ビルとビルの間に立ち止まって、空気の匂いをかぐように鼻をくんくん。ビルの間には風が通ってるんですね。トニーと歩いていなければ、気付けなかったことがたくさん。季節の変化にも気付かされるし、そこに猫がいたんだ、とか。

犬と歩いていると色んな人に話かけられますよ。大きな耳が目立つのか、お年寄りから子どもまで、お話させてもらえる機会ができてうれしいです。

会話を聞いているのかな?
会話を聞いているのかな?

トニーとの接し方について・・

会話を聞いているのかな?しつけとは、飼い主である私と暮らす上で必要なふるまいを教えること。そのしつけも、犬の心と体のバランスがとれていれば、上手に話しかけるだけでできるものだと思っています。普段も友人から、「よしこさんは、トニーとよく話しているよね」と言われます。犬と暮らしているわけですから、その暮らしを楽しまないと!

それには、やっぱり飼い主さんが自分の足でしっかり立っていることが必要だと思います。英語でマチュアという言葉がありますが、マチュアとは精神的にしっかりと立っている大人の状態であることです。マチュアな人間が飼い主であるほうが犬にとっては幸せだと思うんです。

精神的に犬に依存するのは、犬にとっては荷が重いですよ、と生徒さんにも言っています。 “トニーがいるから生きていける”というのは依存。“トニーと楽しく暮らそう”というのがマチュア。うーん、言葉ではなかなか表現が難しいのですが。

バランス・ドッグマッサージをしていても分かります。飼い主のストレスや、飼い主の依存で、犬の体は硬くなります。皮膚が硬くなったり、筋肉がこわばったり。

“犬と暮らす”ってなんだろう、と愛犬の顔をみながら考えてみると気付くことがあると思うんですよ。

トニーくんへ~メッセージ

トニーくんへ~メッセージ

純粋に好きでいてくれてありがとう。まっすぐ見つめてくれていてありがとう。

いつまでも一緒に仲良く。おもしろいこと、みつけよう!トニーは毎日の決まりごとが好きだけど、ボケ防止のためにも、一緒に羽目をはずしちゃおうね。


足が速いことがトニーの自慢なのですが、私が俊足のトニーを見て喜んでいるのをトニーは良く知っています。でも、トニーには、彼の足が速いから好きなのではなくって、私は「トニーの存在そのものが好きなんだよ」ということを、もっともっと感じさせてあげたいな、と思います。

一緒に遊ぶの楽しいよ!
一緒に遊ぶの楽しいよ!

ママへ・・・

いつもお出かけ楽しいよ!

ひなたぼっこ、たくさん一緒にできるといいね。なでてもらうの、最高に気持ちいいよ、もっとマッサージよろしくね。

ママのおかげで、人間には、やさしい人が多くいることを知れたよ。愛される幸せも知ったんだ。犬の暮らしっていいなあ、と思う。またたくさん走りたいから、広いところに連れて行ってね!

トニーより


これから犬を飼おうと思っている方へメッセージこれから犬を飼おうと思っている方へメッセージ

自分のライフスタイルと犬種の特性を知ることが大切です。自分のライフスタイルとミスマッチな犬種と暮らすことは、共に不幸になってしまいます。逆に、自分の生活に合う犬種と暮らせたときには、その幸せは増幅します。

犬によって、子供が平気だったり、苦手だったり。飼い主に相手をして欲しい犬がいれば、1匹だけでいることを好む犬もいます。例えば、静かに趣味に没頭するのが好きな飼い主に、相手をして欲しい犬は不向きでしょう。

それが純血種かもしれないし、トニーの様な雑種かもわかりません。ブリーダーから手に入れるのがいいのか、保護された犬を引き取るのが良いのかも、そのメリットデメリットと自分の生活を照らし合わせて考えてみるといいですよ。

【取材後記】

5匹いた兄弟がいつのまにか3匹になって、周りの親切な方に親切にされて今があるトニーくん、お宅にお邪魔しましたが、ひょうひょうとしていながらもいつも松江さんを目で追ったり、他の方に注目すると、「僕のことも見て~!」と間に入ってきたりとってもお茶目でした。

マッサージをしてもらって怖いことが減って、大好きなお散歩をして、色々な発見が合って・・・犬って素晴らしいな・・と改めて気づかさせてくれた取材でした。

これからも、もっともっと幸せになってほしい。

そしてそんな犬がもっといっぱい増えてほしいです。

松江香史子

犬のマッサージ「ドッグ・リレーション」主宰

日本でのドッグマッサージの第一人者として、犬と飼い主の心と体がやわらぐための活動をする。

犬猫のためのマッサージやTタッチ、ボディワークをアメリカにて学ぶ。

犬をおもいやることで、自身が気づくことに注目し、ストレスマネジメントにも力を注いでいる。